初恋はトランシーバーの電波にのって

初恋はトランシーバーの電波にのって

初恋の話をしよう。

先日の、20数年ぶりに再開した旧友とは飲みの席特有の「あの頃の話」で盛り上がったわけだが、小学校時代、中学校時代の友人の連絡先を知っているかとなると2、3人しか知らなかったりする。それこそfacebookを通じても、連絡をとれる人は5人もいない。

しかし、再会した友人は東京に上京してきてから会っていたという女の子たちの連絡先を知っていた。しかも、当時でいうところの「かわいい」に属する女の子ばかり。

その場で電話してしみちゃうぐらい、友人はイケていた。

そして、電話をわざわざオレに代わってくれた。よそよそしく敬語を使うオレに電話の向こうから「敬語やめてよ~」という笑い声に、一気に当時の空気や放課後のフワフワした感じを思い出した。3人ほどに電話したが、3人とも電話に出た。友人がイケている付き合い方をしていた証拠だな。

そのなかには、オレが生まれて初めて弾き語りで銭を稼いだ(結婚式帰りの陽気なおじさんが千円札をくれた)ときに、一緒に仙台駅に行ってくれた女の子もいた。懐かしいね覚えてる? 覚えていてくれた。自分が何を歌ったのかは一切覚えていなかったが、そのシチュエーションだけはしっかりと覚えているものだ。思い出を美化しているのかと思ったがそうでもないようだった。

そしてもう一人は初恋の相手だった。
オレは「初恋だったんだよー」と今更ながらにしかも電話で軽く告白。えーそうだったんだーありがとう、と。なんじゃその流れ。
しかし、実際その初恋は6歳で小学校にあがる直前に、バレていた。こういうこっぱずかしい話も、覚えているのは自分だけたったりするのだが。
2コ上の姉とトランシーバーで遊んでいたら、幼稚園に5、6人まだ残っていてそこに初恋の相手もいた。姉が何を思ったか「この中に好きな人いる?」とトランシーバーでこっそり聞いてきた。オレは「うん」と言った。姉は「絶対に言わないから教えて、誰?」と。そしてオレは教えた。

姉は即座にバラした。「弟が○○ちゃんのこと好きなんだってー」

6歳にして、その日以来「絶対に誰にも言わない」というのは「絶対に誰かに言う」ための前フリだと知った。
初恋はトランシーバーの電波にのって拡散されたのだ。

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