読書
勝手にキャスティングシリーズ「太田愛」
「相棒」シリーズの脚本を手掛けている太田愛さんが小説を書いていて、これまでに「犯罪者」「幻夏」「天上の葦」と三部作を世に放ってきた。どの作品もボリューム満点にたくさんの仕掛けが連なる壮大なスケールの物語だ。とにかくよく練られたプロットで、伏線の張り方からその回収まで、さすが脚本家だなと思わず唸ってしまう。「犯罪者」は企業犯罪にまつわり、「幻夏」は冤罪、「天上の葦」は公安や戦時中のプロパガンダにまでとざっくり切り取ってもスケールはなかなかのもの。登場する主役級キャラは3名。これまた、味があるやつらなのだ。
そんな三部作を映画化あるいはドラマ化するならどんなキャスティングでいくんだよ? という話だ。
基本的には三人を誰にするかが肝。
三人が中心の物語だ。
私が愛したリボルバーを日本映画で配役してみる
小説を読んだあとにもしくは読んでいる最中に、
もし映画化するとしたらどんなキャスティングがいいか、
というのは読書好きあるあるではないだろうか。
個性豊かなキャラクターが登場する物語であるほど、
その傾向は強くなる。
そうはいっても、昨今は小説が映画化になりがちで、
映画化されていないほうが少ないぐらいだ。(いいすぎ)
また、逆に、
洋画のストーリーをそのまま日本のキャスティングにあてはめていく、
というのも映画好きならばやりがちではないだろうか。
現に米国ドラマの24やプリズンブレイクにハマっている時も、
日本人キャストならば誰がいいかを夢想したものではないか。
こういう作業は、
誰もが知っている作品でやるほうが共感を得られるのだろうが、
あえてあえてあえて、この翻訳小説でやってみたい。
ジャネット・イヴァノヴィッチ著の「私が愛したリボルバー」
【ストーリー】
ステファニー・プラムは30歳でバツイチの独身。
下着専門店でバイヤーとして働いていたが、
やむなく失業の身になり半年も仕事をしていない。
お金に困るようになり愛車が借金の形として差し押さえられてしまう。
背に腹はかえられないとばかりに飛びついた仕事は
なんとバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)。
保釈中の身でありながら裁判にも出頭せずに失踪した逃亡者を
捕まえて警察に引き渡すというものだ。
生まれて初めて手にしたスミス&ウエッソンを構えて、
彼女は颯爽と犯罪者たちに対峙していく。
彼女は最初の仕事で高校時代の元彼で逃亡中の警官ジョー・モレリを探すことになる …。
全米公開: 2012年 1月 27日
上映時間: 1時間 46分
ジャンル: アクション・ドラマ・コメディ
原題: One for the Money
映画化されているんですねぇ。
まあ、原題の通りで、金なんです。
お金がないから仕事しなくちゃいけないんです。
賞金稼ぎなので、屈強な相手にもめげず、追うんです。
くじけずに追うんです。トムとジェリーのように。
【登場人物】
ステファニー・プラム おてんばな主人公
ジョーゼフ・モレリ 賞金首の警察官
レンジャー バウンティハンターのプロでステファニーの師匠
ざっくりとしてますが、この3人だけで回るでしょう。
個人的にはステファニーは北川景子推しですね。
おてんばで、でも一生懸命で、負けず嫌い。北川景子しかいない。
早口で棒読みチックにセリフ言い切ってもらいたいんですよ。
頑張れーって応援したくなるじゃないですか。
長沢まさみだと、モレリをすぐ捕まえちゃいそうな、
仕事速そうな空気出ちゃうんだよね。
クールだし、へこんでもくじけなそうなというか、
やり返してくれちゃいそうなオーラが邪魔をしそうですねぇ。
沢尻エリカも捨てがたいといえば捨てがたい。
じゃあ誰を追うの? 街一番のハンサムで、
かつプレイボーイな野郎ですよ。
32歳の設定にオダギリジョーは厳しいと思うので、
ぎりぎり妻夫木聡でしょうか。(映画ジャッジの配役になっちゃいますね。)
もしくは小栗旬とかですかね。
追われてても余裕出してくれるキャストがいいですよね。
さて個人的にお気に入りのレンジャー。
経験豊富だしクラックワイズ頻出なキザなやつです。
安藤政信がいいですね。(映画スマグラーの配役になっちゃいますね。)
オダギリジョーか。(推しますねぇ)
江口洋介とか福山雅治とか意外性のある使い方もいいですね。
(プロデューサー泣かせな希望だが)
とかなんとか、
小説一冊で、こんなに妄想広がるのが、活字の素晴らしいところだったりします。
【008】Y 佐藤正午
【008】Y 佐藤正午
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あらすじ
アルファベットのYのように人生は右と左へ分かれていった―。
貸金庫に預けられていた、一枚のフロッピー・ディスク。
その奇妙な「物語」を読むうちに、
私は彼の「人生」に引き込まれていった。
これは本当の話なのだろうか?
「時間(とき)」を超える究極のラヴ・ストーリー。
数ある佐藤正午作品の中でも、特に「Y」が好き。
なぜなら大好物である「ライトなSF」、そう、
タイムトラベルものなのだ。
たいていのタイムトラベルものは主人公が自ら時間軸をこえる。
しかし、この「Y」に関しては、違う。
主人公は、検証する。親友だと名乗る知らない男から手にした「物語」を。
つまり、タイムトラベルしている親友は、1回目の人生で主人公と親友だった。
2回目の人生では主人公と親友は知り合っていない。おわかりでしょうか。
タイムパラドックスがなせるわざ。
主人公が、知らない男、自称親友である男からの連絡で、
ひょっとしたらあったであろう「Y」の字のようにに別れたもう一つの人生を、
探っていくという物語なのだ。
主人公がタイムスリップしない、という点が他とは違い、面白い。
しかし、タイムトラベルしてこれから起きうる出来事にうまく対処しても、
決してそれがいい人生に向かうとは限らないわけですよ。
えてして、悲しいことのほうが多くて。
結論としてみれば、運命にさからっちゃーいかん、ってところでしょうか。
2018.10.16
オクトーバーを追え!
かっこいい小説のタイトル
タイトル買いしたことありますか? 映画でも音楽でも小説でも。
タイトルがかっこよければ、それだけで興味をそそられるし、
逆にタイトルが平凡すぎるとなかなか日の目を浴びなかったりする。
タイトル買いとはいうものの、これは「タイトル勝ち」というのはふさわしい気がする。
タイトルだけで勝っている。素晴らしい、という意味だ。
映画タイトルシリーズがそこそこにアクセス数を稼いでいるので、
今回は「かっこいい小説のタイトル」を大解剖していこうと思う。
それを参考にして新たにかっこいいタイトルを作ろうではないか。なんてね。
⇒ とにかくかっこいい映画タイトルシリーズ
まあ、例によって、タイトルを羅列して寸評していくだけですがね。
それでは、おもしろおかしくいってみよう!
【007】かがみの孤城 辻村深月
【007】かがみの孤城 辻村深月
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あらすじ
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
辻村深月の作品をいくつか読んではいるが、間違いなく最高傑作の域。
正直、こんなに感動して、余韻に浸った作品は他にない。
十年に一度ぐらいの傑作だと思う。
学校に行けない女の子。
不登校生徒が、
現実の世界と、かがみの中の世界を行ったり来たり、
その中で、無理して闘うことはない、と知る。
ネタバレになってしまうともったいないので、
詳細は省くが、かがみの中で出会う全員が、
みな頑張っていて、知恵を出し合って、
共闘しようとする姿勢はまぶしかった。
「希望」しか詰まっていない。
多感な時期に、こんな本と出会えていれば、
と思わずにいられない。
はりめぐらされた伏線や仕掛けは、
最後にしっかり回収され解決され、
作者の美しいまでの手腕に脱帽なのです。
ファンタジーの名作といえよう。
2018.01.30


