【008】Y 佐藤正午

【008】Y 佐藤正午

【008】Y 佐藤正午

Y (ハルキ文庫)

あらすじ
アルファベットのYのように人生は右と左へ分かれていった―。
貸金庫に預けられていた、一枚のフロッピー・ディスク。
その奇妙な「物語」を読むうちに、
私は彼の「人生」に引き込まれていった。
これは本当の話なのだろうか?
「時間(とき)」を超える究極のラヴ・ストーリー。

数ある佐藤正午作品の中でも、特に「Y」が好き。
なぜなら大好物である「ライトなSF」、そう、
タイムトラベルものなのだ。

たいていのタイムトラベルものは主人公が自ら時間軸をこえる。
しかし、この「Y」に関しては、違う。
主人公は、検証する。親友だと名乗る知らない男から手にした「物語」を。

つまり、タイムトラベルしている親友は、1回目の人生で主人公と親友だった。
2回目の人生では主人公と親友は知り合っていない。おわかりでしょうか。
タイムパラドックスがなせるわざ。

主人公が、知らない男、自称親友である男からの連絡で、
ひょっとしたらあったであろう「Y」の字のようにに別れたもう一つの人生を、
探っていくという物語なのだ。

主人公がタイムスリップしない、という点が他とは違い、面白い。
しかし、タイムトラベルしてこれから起きうる出来事にうまく対処しても、
決してそれがいい人生に向かうとは限らないわけですよ。
えてして、悲しいことのほうが多くて。
結論としてみれば、運命にさからっちゃーいかん、ってところでしょうか。

2018.10.16

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