だからわたしは本を読む

【005】向う端にすわった男 東直己【だからわたしは本を読む】

【005】向う端にすわった男 東直己 向う端にすわった男 (ハヤカワ文庫JA) 東直己。ハードボイルド作家。長編になればなるほど味わいが増す、めちゃくちゃ好きな作家の一人だ。代表作「探偵はバーにいる」などは大泉洋主演で映画化もされている。すすきのを舞台にした活劇だ。 なぜ東直己作品をめちゃくちゃ好きなのか考えてみた。特にこの「俺」シリーズに関して。ひとつは、札幌に住んでいたことがあるから親近感がわ […]

【004】傍らの人 三羽省吾【だからわたしは本を読む】

【004】傍らの人 三羽省吾 傍らの人 夢中になれるものはありますか? そう問いかけられているような気がしてしまう青臭くも一生懸命な物語が連なった良質な短編集だ。著者三羽省吾のユーモアは心地よいし、ダジャレやギャグのセンスには妙に安心する。今作も独特のユーモアがちりばめられていて心地よい。六つの短編からなる作品だが、妙なところでリンクしていて、全体を通して楽しめる作品となっている。「大人」や「高校 […]

【003】二度はゆけぬ町の地図 西村賢太【だからわたしは本を読む】

【003】二度はゆけぬ町の地図 西村賢太 二度はゆけぬ町の地図 (角川文庫) 西村賢太氏の短編集である同作はタイトルがよい。いろいろな町の安アパートを移り歩いた作者ならではのタイトルだ。しかし、主人公の私生活を見せられて、こうまで最低な人間がいるのかと、思わざるを得ない。日銭で生計を立て、家賃をおさめられないのに、ビールを飲んだり性風俗へはお金を捻出してみせたり。挙句、家賃滞納で追い出されそうにな […]

【002】望郷 湊かなえ【だからわたしは本を読む】

【002】望郷 湊かなえ 望郷 (文春文庫) 湊かなえの「望郷」は「みかんの花」、「海の星」、「夢の国」、「雲の糸」、「石の十字架」、「光の航路」、の6編からなる連作小説集。舞台はすべて同じひとつの島。印象としては長編の「母性」にも出てきたような、窮屈な家庭環境や封建的な社会、閉鎖的なコミュニティで暮らす人々が描かれていたように感じた。世界があまりにも狭すぎて、古くからの習わしや常識とされるものに […]

【001】緑色の休み時間―広太のイギリス旅行【だからわたしは本を読む】

【001】緑色の休み時間―広太のイギリス旅行 三輪 裕子 (著), いせ ひでこ (イラスト) (わくわくライブラリー) 緑色の休み時間―広太のイギリス旅行 (わくわくライブラリー) 「だからわたしは本を読む」ことのきっかけともいえる小学5年生の頃に発売されたこの本を新刊として図書室で手にしたのをいまだにはっきり覚えている。新刊を手にとるという行為がはじめてのことで、この学校で一番最初にこの本を読 […]