【004】傍らの人 三羽省吾【だからわたしは本を読む】
- 2016.08.21
- 読書
- だからわたしは本を読む

【004】傍らの人 三羽省吾
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夢中になれるものはありますか? そう問いかけられているような気がしてしまう青臭くも一生懸命な物語が連なった良質な短編集だ。著者三羽省吾のユーモアは心地よいし、ダジャレやギャグのセンスには妙に安心する。今作も独特のユーモアがちりばめられていて心地よい。六つの短編からなる作品だが、妙なところでリンクしていて、全体を通して楽しめる作品となっている。「大人」や「高校生」が主人公だったりするのだが、どれも違和感なくすっと入ってくる。作者が同じ目線の高さで語り掛けてくれているような気がするのは受け手の問題なのだろうか。
高校生ぐらいの時に、こんな作品と出会えていたら、自分の人生に少なからず影響したのではないだろうか。
帯のキャッチフレーズに目を奪われる。「青春の傍観者だった」「いつでもどこでも脇役だった」「それでも、傍には誰かがいてくれた」「どこにでもいるわたしたちの物語」「夢中になれるってそんなにエラい?」「自分の引き際は自分で決めたい」「会社の愚痴がだけが板についてきた」「勉強したって意味あるの? 無駄じゃない?」「本当は全力で走りたい」「エッチしてるかしてないかなんて、どーでもいいじゃん」「いつまで夢を見るのが許される?」「帰る場所も待っている人もいるのに、今の人生に何かが足りない」「青春なんて大人が決めた賞味期限だ」「頭では諦めているのに、身体が許してくれない」「自分以外の誰かがいつも輝いて見える」「今更。でも今なら、間に合うかもしれな」「どんなに地味でもかっこわるくても、誰もが自分の人生の主人公」
この帯に並ぶ作中から抜粋してきたようなフレーズがすべてではないが、このフレーズに反応するならばぜひ一読をおすすめしたい。青臭さと何にか夢中になるというのは同意語なのかも知れない。
夢中になれるものはありますか?
2016.08.21
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