【001】緑色の休み時間―広太のイギリス旅行【だからわたしは本を読む】

【001】緑色の休み時間―広太のイギリス旅行【だからわたしは本を読む】

【001】緑色の休み時間―広太のイギリス旅行

三輪 裕子 (著), いせ ひでこ (イラスト) (わくわくライブラリー)

緑色の休み時間―広太のイギリス旅行 (わくわくライブラリー)

「だからわたしは本を読む」ことのきっかけともいえる小学5年生の頃に発売されたこの本を新刊として図書室で手にしたのをいまだにはっきり覚えている。新刊を手にとるという行為がはじめてのことで、この学校で一番最初にこの本を読むのが自分だというスペシャル感が後押ししてくれたのはいうまでもない。小学5年生の世界はまだまだ狭く小さい。イギリスといえばシャーロックホームズ、アルゼンチンといえばマラドーナ、ブラジルといえばペレ、ジーコだった。そんな自分にはじめて「ウェールズ」という国名を植え付けた本で、いまだにウェールズと聞けば昔読んだこの「緑っぽい表紙」を思い出すぐらいだ。

児童書として根強い人気を誇っているようで、かくいう私でさえいまだに記憶に残っているので相当な衝撃を受けたといえる。言葉の通じない青い瞳の少年と、異国で過ごす夏休みの思い出だ。なんといってもウェールズの美しいであろう景色が手に取るように伝わり、言葉など通じなくとも芽生えていく友情。大人になって読み返すと、忘れかけてしまった「少年時代の気持ち」は甦るものなのだろうか。絶版となっているようなのが残念だが、もう一度読みたい本、あるいはこどもに読ませたい夏休みの一冊に強く推したい。

2016.04.04

 

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