【011】雪の鉄樹/遠田潤子
遠田潤子という作家をご存じだろうか?
ドストエフエフスキーや森鴎外の作品世界の「理不尽な何か」に惹かれて創作活動を始めたというだけあり、遠田潤子作品全体に共通しているのは「不条理」な世界。簡単にいうならば逆境をバネにする主人公たちが描かれることが多い。不条理な日常描写が秀逸で、その不条理さに嫌悪を覚えつつも読者たちは許容していく。なんでこんなに辛い思いをしなければいけないんだろうと主人公を思い、共に悩みながらも捲るページは止まらない。やがて、わずかな光を見つけ、その一筋の光明に向け物語は突き進んでいく。ストーリーテーリングに対する熱量と、詳細描写に長けており、作品発表ごとに熱狂的なファンを獲得していることだろう。
さて、そんな遠田潤子氏の作品だが、おすすめしたいのは「アンチェルの蝶」「オブリヴィオン」「冬雷」「ドライブインまほろば」あたり。ベースとして、幼い子供が登場するこが多いが、置かれている理不尽な生活環境は作品ごとに異なる。
あらすじ:
母は失踪。女の出入りが激しい「たらしの家」で祖父と父に育てられた庭師の雅雪は、両親を失った少年、遼平の世話をしてきた。しかし遼平の祖母は雅雪に冷たく当たり続ける。雅雪も、その理不尽な振る舞いに耐える。いったい何故なのか? そして14年前、雅雪が巻き込まれた事件の真相は? 耐え続ける男と少年の交流を軸に「償いと報い」を正面からとらえたサスペンス。
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遠田潤子さん。
自分にとっては、新刊が待ち遠しい数少ない作家の一人です。
2019.09.22





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