「一緒に映画を作りませんか?」シーズン2

「一緒に映画を作りませんか?」シーズン2

映画製作チーム「ボニー&クライド」は二十数名からなる組織で、構成員の年齢層は19歳から32歳までの男女で、代表を務めていたのは20歳になったばかりの俺だった。名ばかりの代表だったのか、裸の王様だったのかはわからないが、「映画を作りたい」という衝動だけをエネルギーに、見ず知らずの人たちを寄せ集めたその行動力だけは評価されてもよいだろう。「らしさ」だなと今でも思う。それはのちに登録者数50名をこえるフットサルチームを誕生させる流れにいかされている。

⇒ 「一緒に映画を作りませんか?」シーズン1

初めて書き下ろした脚本を手に、初めての撮影を終え、途方に暮れていた。シーン数が多い。完成が見えない。行き当たりばったりの映画製作は無謀だ。理想を追わず、現実的な作品作りにシフトすべきだ。と、今ならば冷静に考えられる。だが当時はそんな柔軟な考えはなかったし、柔軟な考えは妥協に値すると判断していた。うーん、頭かたい。

「ちょっと無理あるよね」
どんなことにせよ、計画の中止は勇気のいる行動だ。

「映画を作りたい」という衝動を優先させるためには、その決断は間違っていなかった。一度計画を練り直そう。代表のその一言により、せっかちなものづくりからゆるやかでアットホームな体制にシフトする。勝手に張り詰めさせていた緊張感が、みるみるほどけていくのを感じた。

そのあたりで「エリナんち」という溜り場を手にした。たまたまみんなの家が近いということで、自分の2つ年上のエリナのアパートに集まることが多くなった。広告代理店で企画とかやってたチヨちゃんとか、マコっちゃんとか、年上の面々と、同い年のコンちゃんと、1個下のジュンジュンと。そこで、ああでもないこうでもないと、映画だけに限らず、いろんなことを考えたり話したりしたもんだ。仲良くなればなるほど意見も飛び交う。好みの映画、好みじゃない映画。最初の脚本へのダメ出しも出るぐらい仲良くなった。そうなってくると、次作はどういう毛色がいいか、譲らない戦いも始まる。

ショートフィルムでいいから、短編映画でもいいから、とにかく撮影したい。でも短くまとめられる話がない。SFかファンタジーか。恋愛かクライムアクションか。

本も書けない日々が続き、見なければいけない映画リストも百を数えたが、とにかく時間がないと悩んでいた頃、俺たちのもとにショートフィルムのコンペの話が舞い込んできた。

⇒ 「一緒に映画を作りませんか?」シーズン3へ続く

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