「一緒に映画を作りませんか?」シーズン3

「一緒に映画を作りませんか?」シーズン3

映画を作りたいその一心でせんだいタウン情報を駆使してメンバー募集して結成したチーム「ボニー&クライド」。旗揚げ一作目となるはずだった槇村さとる氏の漫画「カフス」を原案にした作品は、早速、座礁。方向性を失いかけていたチームのもとに、ショートフィルムのコンペのお誘いが舞い込んだ。しかも締切は一週間後というタイミング。さあ、どうするチーム「ボニー&クライド」

前回までのあらすじ
⇒ 「一緒に映画を作りませんか?」シーズン2
⇒ 「一緒に映画を作りませんか?」シーズン1

「ショートフィルムのコンペあるよ」
とは、姉からきいた。姉は映画のサークルに入っていて、そのサークルは仙台でも名うてのサークルらしいんだ。そのサークルはフィルムフェス的なこともガンガンやってるサークルだった。そしてゲストに映画監督を招いてちょっとしたワークショップをやるとかそういうノリだった。

映画製作の「え」の字も知らない、自主映画の「じ」ぐらいしか知らないリーダー(私)を筆頭に、メンバーで「ショートフィルムつくっぺ」という気持ちだけは一つになった。

一週間で何ができるのか。幸いにもあの頃は金はなくとも時間だけは腐るほどあって本当にちょっと目を離せばすぐ腐り始めるほどだったのだ。だから私の家をたまり場にして日夜アイデアを練ることになった。こういったらかっこいいけど脚本のない映画撮影が始まったのだ。撮ったものをつなげよう!という制作方法になった。

スタイリッシュにいこう、ストーリーはなくてもいい。「すごいやつらがやってきた」と、冒頭で脅迫文のごとき紙文字が並ぶその映像は、頭っからケツまでベンチャーズの急がば回れこと「WALK DON’T RUN」が流れるショートフィルムを作ることにした。ミュージックビデオではなく、ミュージックを流した実験映像だ。そういうノリだった。クリトファー・ドイルのように手持ちカメラで、色つきセロハンをレンズに貼ったり工夫して、撮った。固定フレームの中でツイストダンスをする人が一人、二人、三人と増殖していく謎の映像もおさめた。とにかく2分ないし3分の間に、ありったけの愛情をそそいだ。そう、自己満足的に、面白いと思うものを詰め込んだ。

そして1週間のタイムリミットに間に合わせてコンペに出品したのだ。

コンペと聞いていたが実際は、監督に見てもらって寸評をいただくワークショップ的なものだったのだが、「ショートフィルムのコンペ」という言葉に胸が熱くなっていた手前、もう「ショートフィルムのコンペ」だったことにしておこうと思う。

ドッキドキの思いで映画監督直々に見ていただいたその作品「すごいやつらがやってきた」は、けちょんけちょんどころか、鼻息で吹き飛ばされるかのごとく軽く一蹴されるのだ。

「・・・なかには、ミュージックビデオのようなものあって、論外でしたけど」

がーん。ほとんど触れられなかった。。。まあ、短編映画ではないからぁ・・・。
ただ、決してうつむくことはなかったよ。
晴れやかな顔してたと思う。
だって処女作だもん。我々の。
だから、論外だったとしても、精一杯やって楽しかったんです、我々わ。

ちなみに、
その監督とは広末涼子の映画デビュー作「20世紀ノスタルジア」のメガホンをとった原将人監督だった。
広末涼子がグルグルとまわるシーン(劇中にある)をどうやって撮影したかなど、
ワークショップは非常にタメになる内容でした。

「ショートフィルムのコンペ」を経験して、
チーム「ボニー&クライド」はさらに一丸となり前進!!していくのかと思いきや・・・

次号へ続く

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