大人の夏読書 夏休みに読みたいオススメ24冊

大人の夏読書 夏休みに読みたいオススメ24冊

夏といえば夏休み。夏休みは何もこどもだけのものではない。大人にだって夏休みはある。夏で連想するものは「祭」「海」「花火」「フェス」そして「宿題」。夏休みの宿題といえば自由研究と読書感想文と相場は決まっている。読書感想文で無理やり読まされた夏休み? あの夏以来、読書なんてしてない!っていう大人たちもいるのでは? あかんあかんいかんいかん。今こそ、大人の夏読書。夏休みに読みたいオススメ24冊をご紹介してあげようじゃないか。

ご紹介するのは小説ばかり。ビジネス書は管轄外なのでご容赦を。

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夜のピクニック/恩田陸

なるべくヨソで紹介されている夏読書本とかぶりたくない。なのでなるべくヨソとは別のチョイスを心掛けるのだが、どうしても外せない一冊として紹介したいのは「ヨルピク」。誰も「ヨルピク」なんていう人いないだろうけど、夜のピクニック。夜通し歩くっていうイベントが舞台になっているお話。老若男女問わず、おすすめしたい一冊ですね。

夜のピクニック (新潮文庫)

キッドナップツアー/角田光代

小学五年生の夏休み初日。二か月前から行方不明になっていた父親に「誘拐」される女の子、ハル。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? というお話は夏休みに読めばさらにリアリティも高まりそう。

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏/道尾秀介

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた・・・。道尾ミステリもいいんじゃないですか。まあ特殊ですけど。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

カカシの夏休み/重松清

ダムの底に沈んだ故郷を出て二十年、旧友の死が三十代も半ばを過ぎた同級生たちを再会させた。帰りたい、あの場所に。家庭に仕事に難題を抱え、人生の重みに喘ぐ者たちを、励ましに満ちた視線で描く表題作『カカシの夏休み』を含む『ライオン先生』、『未来』の3作品が収録された短編集。

カカシの夏休み (文春文庫)

熱球/重松清

夏といえば甲子園。高校野球。町中が甲子園の夢に燃えていた20年前。夢が壊れたときに捨てたはずの故郷。しかし、今。母を亡くした父一人の家に帰ってきた失業中の男と、小学5年の娘。ボストン留学中の妻はメール家族。新しい家族の暮らしがはじまる。懐かしいナインの面々。会いたかった人々。母校野球部のコーチとして、とまどう日々。そして、見つけたのは・・・。大人の夏読書向けに、最適です。

熱球 (新潮文庫)

夜市/恒川光太郎

夏といえば怪談。背筋がすーっと寒くなるようなホラーな話はいかが? こちら恒川さんの夜市は不思議な世界観でライトなゾっと感を堪能できます。夏の夜の大人向け読書に、ぜひ。

夜市 (角川ホラー文庫)

雀蜂/貴志祐介

雪の山荘に閉じ込められた小説家の安斎を突如襲う、凶悪なスズメバチの群れ。安斎は山荘を生きて出られるのか。最後明らかになる驚愕の真実とは!? ノンストップ・サバイバルホラー。涼しい気持ちになること間違いナシ。涼しいというか、オチを知ったら寒気すらします。

雀蜂 (角川ホラー文庫)

浮雲/林芙美子

夏休みだからこそ読みたい長編ってあると思う。時間のある時にしか読めないものとか。そういう流れで一番おすすめしておきたいのは林芙美子の浮雲。第二次大戦下、義弟との不倫に疲れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員富岡と出会う。様々な出来事を乗り越え、二人は屋久島へと辿り着いた——。終戦後、激動の日本で漂うように恋をした、男と女の物語。っていうまあ長い話なんだけど、どこか倦怠感というか退廃的というか、だるい感じがね、夏休みに読みたいと思わせる脱力感があります。

浮雲 (新潮文庫)

白夜行/東野圭吾

長編なら文庫本界隈では一番分厚いんじゃないかと思える白夜行。分厚いからという理由でノミネートさせてみました。これまた壮大なスケールで描かれた男女の話でございます。これはめくるページが止まりませんので、思う存分夜更かししてみてください。

白夜行 (集英社文庫)

東京島/桐野夏生

1945年から1950年にかけて、マリアナ諸島のアナタハン島で起きたアナタハン島事件をモチーフに創作された作品だそうです。暴風雨により孤島にたどりついた31人の男と、たった1人の女。いつまで待っても、助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。果たして、ここは地獄か楽園か?いつ脱出できるのか。

東京島 (新潮文庫)

海の見える街/畑野智美

夏休みまであと5日。仙台から来たあのコが気になる高校一年、どうするどうなる!?僕たちのsummer・・・。という宣伝文句の「夏のバスプール」でデビューした畑野智美の「海の見える街」。これは恋愛小説だが、ほっこりできる。海の見える市立図書館で司書として働く31歳の本田。十年も片想いだった相手に失恋した七月、一年契約の職員の春香がやってきた。本に興味もなく、周囲とぶつかる彼女に振り回される日々。けれど、海の色と季節の変化とともに彼の日常も変わり始める。

海の見える街 (講談社文庫)

タイムマシンでは、行けない明日/畑野智美

夏休みの宿題で読書感想文に何読めばいいかと中学生あたりにたずねられたらコレをすすめます。面白いからという理由であって感想文が書きやすいわけではないのでご注意を。とにかく面白いSF小説になっております。世界観が素敵すぎる。タイムマシンやパラレルワールドが出てきます。ちなみに「ふたつの星とタイムマシン」という別の本もスピンオフっぽく存在しています。

タイムマシンでは、行けない明日

サクリファイス/近藤史恵

夏といえば自転車。ロードバイク。そんなイメージないですか? こちらロードバイクもののミステリというかサスペンスでございます。心理戦です。手に汗握るかどうか。夏に読みたい一冊ですね。

サクリファイス (新潮文庫)

過ぎ去りし王国の城/宮部みゆき

本の中に入っちゃう?? なんと驚きの冒険ファンタジー。夏といえば冒険でしょ。面白いけど、宣伝文句は小難しいから気をつけて!「ネグレクト、スクールカースト、孤独や失意…気まぐれな悪意と暴力、蔑みと無関心に凍りつく心。震える魂が共鳴するとき、かつて誰も見たことのない世界が立ち現れて――現代の闇と光をあぶり出す冒険ファンタジー!」だそうです。

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

物語のおわり/湊かなえ

本が旅をする。ロードムービー的な要素がめちゃくちゃ好き。一緒に旅している気分にもなれるからね。この本読んで、一緒に北海道に行きましょう。そして、物語のつづきを、物語のおわりを味わってください。

物語のおわり (朝日文庫)

スロウハイツの神様/辻村深月

上下巻で長編を堪能して、読後にパワーをもらえること間違いなしなのがスロウハイツの神様。人気が高いのもうなずけるこの世界観は、夏休み後のあなたの拠り所となるかも知れませんよ。スロウハイツで、共同生活を送る、クリエイターやその卵たちのによる創造と再生の青春物語です。

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

生きるぼくら/原田マハ

いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生。蓼科でひとりぐらしを続ける人生の祖母、中村真麻。対人恐怖症の中村つぼみ。田んぼから三人は前をむいて歩み始めた―。収穫のとき、それぞれの心に温もりが実る。人との繋がりの大切さ、そして手作りおにぎりのおいしさの秘密を教えてくれる一冊です。

生きるぼくら (徳間文庫)

私の骨/高橋克彦

ホラーの短編。実家の床下から見つかった骨壷には、なぜか私の生年月日が記されていた…。旧家に残る因習と悲しい親心を描いた表題作をはじめ、心の奥に潜む恐怖を通して人間の本質に迫る七編を収録したホラー短編集。

私の骨 (角川ホラー文庫)

霧が晴れた時 自選恐怖小説集/小松左京

御大のホラー短編。太平洋戦争末期、少年が屋敷で見た恐怖の真相とは!? 名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづける、ホラー短編の金字塔。

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1/筒井康隆

いっさい逃げ場なしの悪夢的状況。それでも、どす黒い狂気は次から次へと襲いかかる。痴漢に間違われたサラリーマンが女権保護委員会に監禁され、男として最も恐ろしい「懲戒」を受ける表題作。たった一度の軽口で、名も知らぬ相撲力士の逆鱗に触れた男が邪悪な肉塊から逃げ惑う「走る取的」。膨大な作品群の中から身も凍る怖さの逸品を著者自ら選び抜いた傑作ホラー小説集第一弾。

懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1 (新潮文庫)

リカ/五十嵐貴久

ノンストップサスペンススリラー。正直このシリーズは恐ろしい。読まなきゃよかったと後悔するぐらいゾっとします。ただ、怖いからこそこの夏おすすめです。シリーズ化されています。まずはこの「リカ」から手にとってみてください。

リカ (幻冬舎文庫)

怒り/吉田修一

沖縄の描写がキラキラっとまぶしいので夏を感じる瞬間かも。上下巻の分量は夏休みの一気読みにぴったりといえる。あなたは大切な人を信じることができるのか? と。

怒り(上) (中公文庫)

オトナの夏読書にぴったり。下巻まで一直線。

怒り(下) (中公文庫)

かがみの孤城/辻村深月

著者の最高傑作ともいえるかがみの孤城は壮大なるファンタジー作品。夏休み明けに不登校したくなった気持ちがほんの少しでもあった人にはたまらない内容なのではないだろうか? これを読んで、より所を見つけて、休み明けもフレシキブルに行こうじゃないか!と前向きな気持ちになれる本だと思いますが。

かがみの孤城

自分なくしの旅/みうらじゅん

自分探しの旅というワードが流行ってた当時に出版されたみうらじゅんならではのアンチテーゼ。みうら氏の自伝的小説です。主人公の乾純と美奈の関係が最後まで、よい。もう、傑作です。夢見る男たちは身につまされるような内容です。
美大合格を目指し京都から上京した浪人生の乾純。外車を乗り回し、銀座の高級料理店へも平気で足を運ぶ美奈。自分とは住む世界が違う彼女に戸惑いつつも、いつしか恋に落ちていく純。キュートな美奈とのセックスに益々のめりこみ、やがてなにもかもが混乱のるつぼと化していく。『アイデン&ティティ』(2003年映画化)と『色即ぜねれいしょん』(2009年映画化)の間を埋める、著者渾身の自伝的青春小説。

自分なくしの旅 (幻冬舎文庫)

というわけで24冊どんとまとめてレコメンド。24作品の最後をかざるのがまさか世界のMJことみうらじゅん氏の作品になるとは自分でも思っていなかったなぁ。さあ、今年の夏休み、あなたはどんな本と出会えるのでしょうか。素敵な出会いに期待しております。