エイジング

エイジング

時代とともに耳に馴染んでいく音楽、つまり趣味趣向というのは変わっていくものである。

好きすぎて普遍的にかっこいいんだと思い込んでいたものを、
久しぶり聴いてみたら違和感を感じてしまったり、
その逆でまだ自分にはわからないと思っていたジャンルが妙にしっくりハマってしまったり。

発酵食品や醸成酒じゃあるまいし、時がたつと「音楽」自体に味が出たり味が落ちたりするわけではないので、ほぼほぼ聞き手の耳や感受性が変化しているだけの話なのだが。

もちろん、自分の中の流行や波はあって、新鋭のクラシックアーティストを好んでみたり、
ラテンのギタリストにハマってみたり、スペインやイタリアのポップスをあさってみたりと、
その時代、その時代で一定の方向に振り切って聴くようなタイプではあった。

最近のマイブームは2本柱で進行中なのだ。

ひとつは、いわゆるクラブミュージック再評価型。自分がまだ音楽活動で最前線にいた頃に、同業として活動されていたアーティストたち、なかでもBENNIE KやLECCA、heartsdales、soul’d outなどだ。プレイヤーとしてステージに立っている頃というのは、同業の音楽を聴きたがらない。刺激や影響を受けたくないという気持ちが働いていた。特に、soul’d outなんかは彼らがまだデビューする前に、博多のライブで一緒だったのだが、飛び抜けてかっこいいことをしていたので妙にこちらとしてもかまえてしまい、壁を作ってしまった。ちっぽけなプライドが邪魔して、交流するには至らなかった。BENNIE Kなんかも大きい舞台なんかで入れ違いで出演したこともあったが、自分はまったく交流がなかった。まわりは交流があったのに、だ。そして音楽は聴かず嫌いというか、実際は嫌えるほど知らないので嫌ってはいないのだが、とにかく聞かないことが多かった。しかし、今聴いてみると、あの当時聴いておきたかったと後悔するぐらいにかっこよいのだ。あの頃聴いていれば確実に自分にとって何か変化があっただろうなと、いまさらながらに思うわけだ。

もうひとつは、ジャズ。インストゥルメンタル。チェット・ベイカーやチャーリー・パーカーなんかの王道なところをよく聴くようになった。ジャズも奥が深いし幅が広いけど、いいものはいいというスタイルで聴くに限る。そんな中でも最近は国内アーティストのアルトサックス奏者の矢野沙織にドハマリしている。デビュー当時からチェックはしていたのだが、やはり歳を重ねるごとによい。(この場合は演者もリスナーも)

矢野沙織
http://www.yanosaori.com/

歌うように吹く人だな、と思う。
とても心地よい。立ち位置がしっかりしていて、出るところと出ないところをわかってる人だなという音色。
とにかく最近は数枚のアルバムをランダムにかけて聴いている。

saoriyano

出典元:www.jazz.co.jp

一年後の今頃は、どんなものにハマっているのだろうか。
やっぱ、音楽は、いいね。

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